うたかた日誌

旅行、読書、時々料理。

八丈島/Hachijo Island - Day 3 - 2.

大丈夫、生きてる。彼等も私たちも。生きててよかった。生きよう。ひとまずもう少し。山を登ろう。八丈富士がそこにあるから。

ということで念願の八丈富士を登り始めました。延々と続くわりと急な登り道。鳥居もあります。ちょっと霧っぽい。が、悪くない。

振り返れば霧の向こうに海と街が見える。悪くない。というか、良い。

登り着いたところ。うーん。見えない。風が強い。

頂上はまだ先。お鉢巡りってものをしたい。でも強風。目指すべき場所が見えない。写真ではわかりにくいですが、ものすごい風です。おそらくお鉢の中から風が駆け上がってくるのではないかと思われます。風に飛ばされないようにしゃがんだり腰を低くしてすすみます。右も左も足場がないので飛ばされたら一巻の終わりです。そして、霧が目の中に入ってコンタクトも真っ白に濁ってきました。目が文字通り見えない。危険。何を目指してどこへ向かうのか。見えない。冒険したい。でも、生きたい。

かなり頑張ったけれど、途中で引き返してくるネイチャーレンジャーさん達に会い、登頂とお鉢巡りは諦めて途中で引き返しました。無念ではありますが、やめる勇気。また来るよ、八丈富士。火口の中の火口の中の植物を見に来るよ。

降りてふれあい牧場へ。しかし霧でよくわからない状況なので、お昼ご飯へ。山を降りると嘘みたいな晴天。さっきまで霧の中強風に吹き飛ばされそうになって死の恐怖すら味わっていたから神様に感謝したくなるような晴天でした。同じ日に同じ場所で起きていることなのかしら。生きててよかった。May the Force be with you.

お昼ご飯はピザ。もちもちの生地に八丈島の素材。めちゃめちゃおいしい。

明日葉&牛乳ソフトクリーム@ジャージーカフェ。八丈島には酪農があります。

1日が長いので、ここからはマキでいきます。午後は底土海岸でシュノーケリング。ウミガメもいます。海がものすごく綺麗でたくさんのお魚たちと泳げます。

時間を忘れてシュノーケリング。2時間ちょっと海を泳いで少し海も暗くなってきました。流石に糖分が不足してきたので、ホテルに帰り、次は光るキノコ鑑賞会@八丈植物公園の準備。サンダルで良いのかスニーカーが良いのか悩み、八丈富士の甘くみちゃいけない経験をいかしてスニーカーを選択。結果的には普通にスカートとサンダルでも良かったです。暗闇を歩くので転びやすい自覚がある方はスニーカーがオススメです。空には星、足元にはヒカルキノコ。

キノコがなぜ光るのか考える必要なし。

夕飯は有名店らしい、梁山泊八丈島料理。島寿司、ウミガメ、くさや、しいたけ、お魚色々。そしてザ・ベスト焼酎、江戸酎との出会い。ウミガメは昨日も今日も出会って可愛いと思っただけにちょっとだけ抵抗あったけれど、美味しかった。牛すじみたいな部分やピータンみたいな部分があり、その使用部位について色々議論してお店の方にも教えてもらって、ウミガメさんに次に会ったときは感謝の気持ちを伝えようと思うのでした。なお、八丈島ではウミガメを捕ることは禁止されており、食べるのは小笠原でとったウミガメとのこと。

この後、忙しい私たちは、満点の星空の下海岸で花火をして部屋に帰って寝るのですが、とにかくバタンキューなので今日はおしまい。

八丈島/Hachijo Island - Day 3 - 1.

八丈島3日目。旅程の真ん中の日。早い…。

宿泊地は島の東側の海に面していますので、朝日が拝めます。朝日に目が覚めてパシャり。この日は八丈富士登山、海水浴、光るキノコ鑑賞がメインイベントでしたが、死の恐怖をも味わう長い一日になるのでした。

 

まずは週末に合流する友人たちを空港までお迎えに行きます。

みなさんは八丈島ガンバの冒険の舞台であることをご存知でしょうか。そもそも、ガンバの冒険を知っている?ガンバの冒険、むかぁし観たことあるような。小学校の講堂であった映画上映会で観た記憶はある。ネズミたちがイタチと戦うお話です。八丈島では、マムシを退治するために鳥(何の鳥か失念)を導入、マムシがいなくなったかわりにネズミが増え、ネズミ退治のためにイタチを導入、最終的にマムシとネズミを食べるイタチが増殖しているのです。懸命に闘うガンバ達の運命はわかりきっていることだったんです。

というわけで、運転をしていると車道をイタチがちょこちょこっと横切ることも珍しくありません。それは八丈島朝8時。島の北側八丈富士の麓の何もない道路。ペーパードライバーには絶好の練習道路。何もない。誰もいない。余裕。自然とこぼれる笑みとまじる鼻歌。右ななめ前方から長いゴミのようなものが出現。ヒラリヒラリとリボンのように舞っています。八丈島にもあんな大きなゴミがあるんやねぇ〜と思ってそのままの速度で走って近づいたら。リボンがとたんに二つにわかれて生き物の形になりました。イタチのようにしなやかでかわいらしい。こちらの車線に駆けてくる。2つの柔らかそうな塊が絡み合って目の前に転がり出てきた。あー、イタチー、2匹ー、やめてー!轢きたくない、こないで!いやー!!(絶叫)

とっさにハンドルを左へ。ちなみに左側は山の崖下です。助手席の人の叫び声(何を言ったかわからないしそれどころじゃないけど。まっすぐとか、突っ込めとか、死ぬ!みたいなこと?)!そこでなんとか我にかえり覚悟を決めて目を見開いてイタチたちを轢き殺すことも辞さない気持ちで突っ込みました。涙。生き物の、命を、この足で、奪いました。合掌。ブーン。

通り過ぎてからミラーでみた限りでは、結局彼等は死ぬことはなくその後も車道で飛び跳ねていた。沈黙。ドキドキ。そのまま心拍数110で空港へ到着するのでした。

(つづく)

 

八丈島/Hachijo Island - Day 2 -

初めての八丈島の朝!

朝食にくさやパンを食べて、事前にガイドさんの予約していたヘゴの森へ向かいます。

くさやパン。ほぐしたくさやにマヨネーズ味のソースをからめている?シーチキンのような取り扱いです。チーズみたい。自分の脳内で「くさや」の概念を「チーズのひとつ」に塗り替えた瞬間です。

そういえば、くさやというのは、魚の名前ではありません。行くまでしらなかった。くさやは、くさや液という魚醤に魚をつけて干物を作る保存食の作り方のひとつです。ムロアジのくさや、飛魚のくさや、があります。くさやに最適のアジとして「クサヤムロ(モロ)」という名前のお魚があるのでここで混乱が生じるのかもしれないですね。 

三根地区から中之郷地区へ移動。山っぽくなってきた。

ハイビスカスと明日葉

ヘゴの森到着。ここからしばらくシダ植物などの写真が続きます。

ヘゴの森は、黄八丈の染め元が所有する私有地となっており、ガイドさんなしでは入ることはできません。黄八丈の染料となる木々が生えていたり、杉植林運動の影響を受けて杉の木が周囲に溶け込めずも植わっていたり、八丈島原生のシダ植物があったりします。まるでジュラ紀の森に迷い込んだよう。1964年の東京オリンピックや、80年代のバブル景気時代にはシダ植物が相当の高値で取引されたとのこと。

太古の面影の中にも経済と趣味の匂いもするヘゴの森。黄八丈の染め元さまとはいったいどんな方なのでしょう。

ヘゴの森終了。ガイドの高橋さんは八丈島の石を使って砥石を作られています。

森に入る前、お腹が空くことを大変心配していただきました。実際、2時間程度の森歩き後おなかがぐぅぐぅなり始めました。が、空腹を我慢してまずは汗を流しに近くにある温泉へ。水着で入る混浴温泉で、その名の通り裏に滝があります。

昼食は冷麦と明日葉とエビの天ぷら。

ペーパードライバー歴14年を返上してたどり着いたのは、南原千畳岩海岸。溶岩流が冷え固まってできた海岸でした。心なしか荒々しい気分。流人。死の恐怖を克服してたどり着いた場所、それが南原千畳岩海岸。

この景色の中に佇む「塾」

宇喜多秀家はなにをかいわんや。

調べてみたところ、南原千畳敷は1605年の八丈富士の噴火で流れ出た溶岩により作られたもの。宇喜多秀家八丈島に流されてきたのは1606年。すごい場所へ送られたわけですね。せつない気持ちを海岸に残して、空間舎さんという喫茶店へ移動。

後から聞いたところによると、喫茶店のお手本のような場所らしいです。静かで平和で時間を忘れる空間でした。

この日の夕飯は8時8分に到着したエイトさん。八丈島の8よね、たぶん。今日も焼酎を飲み進め、くさやピザを食べ、島唐麻婆をたべ、その他色々お魚が美味しい。ちなみに、くさやは私の中でチーズのひとつなのでなんの違和感もない。夜もふけてくるとマスターが友人たちと握力を測り始める。バタンキュー。なので今日もおしまい。